薬剤師お悩み相談

疑義照会をすると、門前の医師に嫌な顔をされます。電話をかけるのが怖くなってきました【薬剤師のお悩み相談】

処方内容の疑問を電話で照会する薬剤師と、相談・回答の二つの吹き出し

相談内容

門前のクリニックの処方箋がほとんどの調剤薬局で、3年目の薬剤師として働いています。処方に気になる点があって疑義照会の電話をかけると、医師の機嫌が悪く、「それくらいそっちで判断して」「忙しいんだけど」と言われることがよくあります。先日は、腎機能が落ちている患者さんの用量について確認したところ、ため息をつかれて電話を切られました。結局処方は変更になったので、照会は必要だったのだと思います。それでも、次に電話をかけるときに手が止まるようになってきました。管理薬剤師からは「あそこの先生はああいう人だから」と言われるだけです。照会を減らしたほうが、うまくやっていけるのでしょうか。

※ 相談内容は、よく寄せられる悩みをもとに編集部で再構成したものです

編集部の回答(結論)

減らす必要はありません。疑わしい点を確かめずに調剤することは、法律が禁じています。疑義照会は、薬剤師が医師に頼みごとをしているのではなく、処方を交付した医師と薬剤師がともに負っている安全確認の手続きです。そのうえで、照会の伝え方を整えること、電話をかける役割を一人に寄せないことで、負担は減らせます。今回の照会で処方が変わったことは、あなたの判断が正しかった証拠です。

「照会を減らしたほうが、うまくやっていけるのでしょうか」。先に答えます。減らす必要はありません。むしろ、減らしてはいけないものです。ただ、毎回つらい思いをしながら電話をかけ続けるのも、長くは続きません。この記事では、疑義照会について法律が定めていることを確認したうえで、伝わりやすい照会の組み立て方と、職場で負担を分ける方法を整理します。

疑義照会は、法律が求める手続き

薬剤師法24条は、薬剤師は、処方箋中に疑わしい点があるときは、その処方箋を交付した医師などに問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによって調剤してはならないと定めています。

この条文の主語は薬剤師で、書き方は禁止です。疑わしい点がある処方箋で、確かめずに調剤することが禁じられているのであって、照会はしてもしなくてもよいものではありません。「それくらいそっちで判断して」と言われても、薬剤師が自分の判断で処方を変えて調剤することはできません。

その理由は、同法23条2項にあります。薬剤師は、処方箋に記載された医薬品について、交付した医師などの同意を得た場合を除き、これを変更して調剤してはならないとされています。つまり、薬剤師が処方を変えるには医師の同意が必要で、同意を得る手段が疑義照会です。医師にとっても、自分の処方に関わる判断を確認する機会になります。

相談にあった腎機能の件は、まさにこの仕組みが働いた例です。照会の結果、処方が変更になりました。患者さんにとって必要な確認だったということです。ため息をつかれたことと、照会が正しかったことは、別の話です。

嫌な顔をされる理由を分けてみる

医師の反応がきつくなる理由は、いくつかに分かれます。

1つは、診察の流れを止められることです。外来の最中にかかってくる電話は、医師にとって負担です。照会の中身ではなく、タイミングに反応していることがあります。

2つ目は、何を聞かれているのかがすぐに分からないことです。前置きが長く、確認したい点が最後に出てくると、忙しい相手ほど苛立ちます。

3つ目は、医師個人の性格や、薬剤師との関係の作り方です。ここは、薬剤師の工夫だけでは変えられない部分です。

1つ目と2つ目は、伝え方である程度変えられます。3つ目は、あなたの責任ではありません。変えられる部分と変えられない部分を分けると、自分を責める範囲が小さくなります。

伝わりやすい照会の組み立て方

電話をかける前に、伝える内容を短く組み立てておくと、相手の反応も、自分の緊張も変わります。

最初の一言で、誰の、どの薬の、何を確認したいのかを伝えます。「◯◯さんの処方の、◯◯錠の用量について確認です」。結論から入ると、相手は聞く準備ができます。

次に、根拠を一つだけ伝えます。「直近の検査値で腎機能が低下しており、添付文書上の減量の目安にあたります」。根拠が複数あっても、最も重要なものから一つにします。

そのうえで、選択肢を示します。「◯mgへの減量か、このまま継続か、ご判断をお願いします」。医師が答えやすい形にしておくと、会話は短く終わります。

照会の内容と回答は、毎回記録に残してください。日時、相手、確認した内容、回答。記録は、後から判断の経緯を示すものになり、あなた自身を守ります。

電話のタイミングも工夫の余地があります。急ぎでない確認であれば、クリニックと相談して、照会を受けやすい時間帯や方法を決めておくと、お互いの負担が減ります。

一人で抱えないための仕組み

「あそこの先生はああいう人だから」で終わらせている職場の状態も、見直してよい点です。

疑義照会は、個人の勇気に頼るものではなく、薬局として行う業務です。照会のたびに特定の人がつらい思いをしているなら、それは薬局の課題です。管理薬剤師に、次のことを相談してみてください。

  • 照会の内容に迷ったとき、かける前に相談できる相手を決めておくこと
  • 照会を記録し、どんな内容でどう返ってきたかを薬局内で共有すること
  • 頻繁にある確認事項について、薬局とクリニックの間で事前に取り決めができないか、話し合うこと
  • 医師の対応があまりに威圧的な場合に、管理薬剤師や本部が窓口になること

照会の記録を薬局内で積み重ねると、「この先生はこの点をよく変更する」「この確認はこう伝えると通りやすい」といった知識がたまります。照会がつらいのは、毎回ゼロから一人で向き合っているからでもあります。

職場の人間関係そのものに悩んでいる場合は、狭い薬局で、聞こえるように悪口を言われますの回答も参考になります。医師の言動が繰り返し人格を否定するものになっているなら、記録の残し方はエリアマネージャーの叱責が人格否定に聞こえますが役に立ちます。

最後に、伝えたいことがあります。照会の電話の前に手が止まるのは、あなたが患者さんの安全を真剣に考えているからです。その感覚は、薬剤師として失ってはいけないものです。守るべきは照会そのもので、変えていくべきは、照会がつらくなる環境のほうです。

同じ状況にいる方へのチェックリスト

  • 疑わしい点を確かめずに調剤することは薬剤師法24条で禁じられている、と整理できたか
  • 照会の前に、誰の・どの薬の・何を確認するかを一言にまとめたか
  • 根拠を一つに絞り、選択肢を示す形で伝えているか
  • 照会の日時、相手、内容、回答を毎回記録しているか
  • かける前に相談できる相手を、薬局内で決めたか
  • 照会の記録を薬局内で共有する仕組みがあるか
  • 照会を受けやすい時間帯や方法を、クリニックと話し合えないか検討したか
  • 医師の言動が威圧的な場合の窓口を、管理薬剤師や本部と決めたか

制度や規定に関する記載は一般的な説明です。個別の処方判断については、添付文書や勤務先の手順、専門家にご確認ください。

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白衣キャリア編集部

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