夜勤免除は、子どもが何歳になるまで使えるのか。先に答えます。育児・介護休業法19条にもとづく夜勤免除(深夜業の制限)は、子どもが小学校に入学するまでです。小学生になると、この条文を根拠にした請求はできなくなります。3歳で終わるのは時短勤務の義務のほうで、夜勤免除ではありません。
免除が認められて働き方が落ち着くと、次に考えることを先送りにしがちです。けれども学童保育の時間は保育園より短いことが多く、生活のほうはむしろ手がかかる時期に、制度の後ろ盾だけが先に外れます。この記事では、3歳と小学校入学という2つの区切りで何が変わるのかを条文で確認し、期限が来る前の1年で決めておきたいことを整理します。

何歳まで使えるか:制度ごとの早見表
子育て中の看護師が使うことの多い制度を、使える期間ごとに並べました。
| 制度 | 根拠 | 使える期間 |
|---|---|---|
| 夜勤免除(深夜業の制限) | 育児・介護休業法19条 | 小学校に入学するまで |
| 残業免除(所定外労働の制限) | 同法16条の8 | 小学校に入学するまで |
| 時短勤務(短時間勤務の措置) | 同法23条1項 | 3歳になるまで |
| 時短・始業時刻の変更などから2つ以上の措置 | 同法23条の3 | 3歳から小学校に入学するまで |
| 子の看護等休暇 | 同法16条の2 | 小学校3年生の修了まで |
| 妊産婦の深夜業の制限 | 労働基準法66条3項 | 妊娠中と産後1年まで |
条文の「小学校就学の始期に達するまで」は、子どもが小学校に入学する日の前日まで、つまり6歳になった後の最初の3月31日までを指します。小学校に入学する時期は、学校教育法17条で、満6歳に達した日の翌日以後の最初の学年の初めと定められています。
夜勤免除の根拠には、子の年齢の上限が書かれている
まず、根拠となる条文を確認します。
育児・介護休業法19条は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求した場合、事業主は午後10時から午前5時までの間に労働させてはならないと定めています。条文が対象にしているのは、就学前の子を育てている人です。つまり、子どもが小学校に上がった時点で、この条文を根拠にした請求はできなくなります。
同じことが、所定外労働の制限にも当てはまります。同法16条の8は、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求した場合、所定労働時間を超えて労働させてはならないと定めています。残業の免除も、就学までです。
なお、産後1年以内であれば労働基準法66条が根拠になり、条件が異なります。自分がどの条文の対象なのかは育休明けの夜勤免除、「できない」と言われたら?労基法66条と育介法19条で確認で整理しています。
制度の期限を知らないまま就学の年を迎えると、年度の切り替わりと同時に勤務表が変わることがあります。 病棟側にも準備の都合があるため、事前に話していなければ、4月から夜勤が入る前提で組まれても不思議ではありません。
3歳の区切り:以前より手当ては厚くなっている
3歳については、古い理解が広まっているので、先に訂正しておきます。
たしかに、育児・介護休業法23条1項が事業主に義務づけている所定労働時間の短縮措置、いわゆる時短勤務は、3歳に満たない子を養育する労働者が対象です。3歳の誕生日を境に、この条文にもとづく時短の義務はなくなります。ここまでは、よく言われているとおりです。
一方で、2025年10月1日に施行された改正で、同法に23条の3が加わりました。この条文は、3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者について、事業主に次の措置のうち2つ以上を講じなければならないと定めています。
- 始業時刻の変更等の措置
- 在宅勤務等の措置
- 育児のための所定労働時間の短縮措置
- 子を養育しやすくするための休暇を与える措置(子の看護等休暇、介護休暇、年次有給休暇を除く)
- そのほか、厚生労働省令で定める措置
労働者は、事業主が用意したこれらの措置のなかから申し出て利用する形になります。時短が選択肢に入っていれば、3歳以降も時短を続けられます。同法23条の2は、申し出たことや措置が講じられたことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いを禁じています。
つまり、**3歳は「支援が切れる時点」ではなく「使える措置の形が変わる時点」**です。自分の職場が5つのうちどの2つ以上を選んでいるかは、就業規則か育児介護休業規程に書かれています。3歳になる前に確認しておいてください。看護の現場で在宅勤務は選びにくいので、実際には時短、始業時刻の変更、休暇のいずれかが用意されていることが多くなります。
小学校入学の区切り:ここが本当の分かれ目
3歳と比べると、小学校入学のほうが影響は大きくなります。この時点で、次の3つが同時に終わります。
- 深夜業の制限(19条)
- 所定外労働の制限(16条の8)
- 3歳から就学前を対象とした柔軟な働き方の措置(23条の3)
夜勤も残業も、法律上は元に戻る前提になります。しかも小学校に上がると、保育園のような延長保育がなく、学童保育の終了時刻は園より早いことが一般的です。長期休みの対応も必要になります。支援が薄くなる時期と、手のかかり方が変わる時期が重なるという構造です。
就学後も残るものもあります。子の看護等休暇は、2024年の改正で対象が広がり、同法16条の2により9歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子、つまり小学校3年生の修了前までを養育する労働者が使えます。年5日、子が2人以上なら年10日が上限です。病気やけがの世話だけでなく、感染症による学級閉鎖への対応や、入学式などの行事への参加も対象に含まれます。小学校低学年のあいだは、この休暇が支えになります。
そして重要なのは、法律の期限が来ることと、職場が夜勤を求めることは別だという点です。条文の義務がなくなるだけで、話し合いの余地がなくなるわけではありません。 就業規則で法律を上回る独自の措置を設けている職場もあります。まず自分の勤務先の規程を確認してください。
期限が来る前の1年で決めておくこと
就学の1年前、つまり子どもが年長になる4月あたりから準備を始めると、選択の幅が残ります。直前になるほど、選べるのは「受け入れるか辞めるか」に近づきます。
- 就業規則と育児介護休業規程を印刷して読む。法律の期限より長い独自の措置があるか、夜勤の回数に関する配慮の規定があるかを確認する
- 夜勤に戻る場合の条件を数字で考えておく。月に何回までなら生活が回るのか、何時から何時までなら家族が対応できるのか。「無理です」より「月2回、準夜までなら」のほうが交渉になります
- 家族と当日の分担を具体的に決める。夜勤の日に誰が夕食と就寝を担当するのか、学童の迎えはどうするのか。決まっていない状態で職場と話すと、条件を出せません
- 学童保育の申込時期と終了時刻を調べる。自治体によって大きく異なり、延長の有無も違います。ここが決まらないと勤務の条件も決まりません
- 師長に、就学のタイミングを先に伝えておく。勤務表を組む側は、数か月先を見て人を配置します。早く伝えるほど、相手も動けます
- 日勤常勤という枠が最初から用意された職場を、情報として調べておく。実際に移るかは別として、選択肢を知っているかどうかで交渉の姿勢が変わります
最後の項目について、一つ補足します。転職を勧めているのではありません。ただ、「ここで受け入れるしかない」と思い込んだ状態での話し合いと、ほかにも道があると知ったうえでの話し合いでは、こちらの出方が変わります。外来、クリニック、健診センター、訪問看護、介護施設など、日勤中心で働ける場の実際は夜勤なしで働きたい看護師の選択肢に整理してあります。
職場と話すときの順番
話す内容が同じでも、順番によって受け取られ方は変わります。
最初に伝えるのは、いつ何が変わるかという事実です。「来年の4月に子どもが小学校に上がるので、深夜業の制限が使えなくなります」。制度の話から入ると、感情の問題ではなく予定の共有として扱われます。
次に、こちらが出せる条件です。「月に2回までなら準夜に入れます」「土日の夜勤は家族が対応できるので可能です」。できないことから話すより、できることから話すほうが、相手は勤務表を組みやすくなります。
そのうえで、残る課題を相談の形で出します。「深夜勤の翌朝に学童の送りができないので、そこをどうするか相談させてください」。解決策まで自分で用意する必要はありません。
話した内容は、口頭で終わらせずメールなどに残しておいてください。人事異動で師長が変わったとき、記録があるかどうかで話の続き方が変わります。
夜勤免除を取っていること自体に負い目を感じている場合は、夜勤免除を取りましたが、同僚への負担を思うと申し訳なくて続けられませんもあわせて読んでみてください。
よくある質問
小学生の子どもがいても夜勤免除を請求できますか
育児・介護休業法19条にもとづく請求はできません。同条の対象は小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者です。ただし、就業規則で法律を上回る措置を定めている職場もあり、その場合は規程にもとづいて申し出ることができます。また、法律の根拠がなくても、勤務の相談自体は可能です。まず自分の勤務先の規程を確認してください。
夜勤免除を請求できる条件はありますか
育児・介護休業法19条1項は、引き続き雇用された期間が1年に満たない人や、深夜に常態として子を保育できる同居の家族などがいる人を、請求できる人から除いています。請求は、1か月以上6か月以内の期間を示して、開始予定日の1か月前までに行います(同条2項)。また、事業の正常な運営を妨げる場合は例外とされています。どんな場合がこれに当たるかは、育休明けの夜勤免除ができない理由は?で整理しています。
3歳を過ぎたら時短は使えなくなりますか
事業主に義務づけられた所定労働時間の短縮措置は3歳未満の子が対象ですが、2025年10月施行の育児・介護休業法23条の3により、3歳から小学校就学前については、時短を含む5つの措置のうち2つ以上を事業主が講じることが義務づけられています。時短がその2つに含まれていれば、引き続き利用できます。何が用意されているかは職場ごとに異なります。
就学を機に日勤のみの職場へ移るのは、キャリアの面で不利になりますか
不利になるかどうかは、移る先と、そこで何を担うかによります。夜勤手当がなくなるぶん収入は下がりますが、外来や訪問看護、健診など、日勤中心でも専門性を積める場はあります。収入とキャリアへの影響を具体的に見たうえで判断してください。詳しくは夜勤なしで働きたい看護師の選択肢|日勤のみの職場と収入・キャリアへの影響で整理しています。
まとめ
- 育児・介護休業法19条にもとづく深夜業の制限は、子が小学校に就学した時点で終わる
- 所定外労働の制限(16条の8)も同じ時期に終わるため、夜勤と残業の両方が法律上は元に戻る
- 3歳は支援が切れる時点ではなく、2025年10月施行の23条の3により、時短を含む5つの措置のうち2つ以上が事業主に義務づけられている
- 子の看護等休暇は小学校3年生の修了前まで使え、学級閉鎖や学校行事も対象に含まれる
- 就学の1年前から、規程の確認、出せる条件の数値化、家族の分担、学童の時間、師長への事前共有を進めておく
- 法律の期限が来ても話し合いの余地は残る。就業規則で法律を上回る措置を設けている職場もある
参考にした一次資料
- e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」第16条の2・第16条の8・第19条・第23条・第23条の2・第23条の3
- e-Gov法令検索「労働基準法」第64条の3・第66条
- e-Gov法令検索「学校教育法」第17条
本文の条文はこれらの原典を編集部が直接確認したうえで引用しています。2026年10月時点の条文で確認しており、2025年10月1日施行の改正内容を含みます。
制度や規定に関する記載は一般的な説明です。詳細は勤務先の就業規則・育児介護休業規程を確認し、判断に迷う場合は各都道府県労働局の雇用環境・均等部門にご相談ください。
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